ウィズダムツリーの哲学が面白い
ウィズダムツリーというアメリカのETF運用会社があります。
2015年に日本法人を設立し、翌2016年には同社のETFが日本でも販売開始となりました。
モーニングスターに、同社のストラテジスト渡邊雅史氏と朝倉智也氏の対談記事が掲載されています。
この記事を読んで、ウィズダムツリーの理念といいますか、哲学は中々面白いなと感心しました。
ウィズダムツリーの哲学
(出展:モーニングスター ホームページ)
ウィズダムツリーの運用戦略として、3つのポイントを挙げています。
- 効率的市場仮説は必ずしも当てはまるとは限らず、ファンダメンタルズ面を重視する
- 第三者が設定したインデックスは用いず、自社が設定した独自のインデックスを用いる
- ETFに特化する
そしてウィズダムツリーが他社と異なるのが、配当を重視し徹底的にこだわる点です。
- DLN :ウィズダムツリー 米国大型株配当ファンド
- DHS :ウィズダムツリー 米国株高配当ファンド
- DGRW:ウィズダムツリー 米国株クオリティ配当成長ファンド
上記が記事中に紹介されたETFです。どれも名前に”配当”がついていますね。
ウィズダムツリーが配当を重視する理由は二つ。
- 配当が企業のファンダメンタルズを示す指標となるから
- 歴史的に見て配当こそ株式投資のリターンの源泉だから
2番目の「配当が株式投資のリターンの源泉」は、ウィズダムツリーのアドバイザー、ジェレミー・シーゲル教授の研究結果から証明されているとしています。
シーゲル教授は「株式投資の未来」の著者、ウィズダムツリーのアドバイザーとしても活動していたのですね。
面白い運用会社が現れた
ウィズダムツリーの商品はかなり魅力的です。
他の運用会社でいうところの、バンガード社のVYM、ブラックロック社のHDVがライバルとなるでしょうか。
バンガードもブラックロックも日本でも一定の知名度があるでしょうが、ウィズダムツリーはまだ名が売れているとは言い難いでしょう。
ウィズダムツリーのように明確で分かりやすいビジョンを持った運用会社の登場を、一米国株投資家としてうれしく思います。
ウィズダムツリーの商品を買わずとも、同社がどの銘柄をETFに組み込んでいるのかを見るだけで参考になることでしょう。
各運用会社が切磋琢磨して公平な競争をして、もっと海外ETFというものが、身近でポピュラーな存在になってくれればいいですよね。
課題は経費率か
ただ、ウィズダムツリーのETFはどれも経費率が高いです。
- DLN :0.28%
- DHS :0.38%
- DGRW:0.28%
- VYM :0.08%
- HDV :0.08%
上3つがウィズダムツリーのETF、下二つがライバル会社の高配当ETFの経費率です。
経費率0.28%や0.38%はまずまず低い部類に入るのでしょうが、いかんせんライバルの類似商品の経費率は0.08%と大きく水をあけられています。
品質もおそらくライバルの高配当ETFと大差ないでしょう。
ウィズダムツリーの金融商品が普及するには、もうすこし経費率を下げないと厳しいのかもしれません。