81年生まれが投資による資産運用を真剣に考える

市場でもがく一個人投資家のリアル、お伝えします。月1で資産状況公開中。

*

物価2%が達成できないのは、日銀のせいではない

      2017/07/24

7月20日、日銀がかねてより目標としている「物価上昇率2%」の達成時期を、2018年度ごろから2019年度ごろに先延ばしにすることを発表しました。

2016年1月にマイナス金利政策というとっておきの劇薬までつかったのに、2%には全く届く気配が感じられません。

もしかしたら日銀の異次元金融緩和は失敗だったのでは、と責める向きもあります。

しかし、物価上昇率の目標未達は日銀だけの責任ではなく、言わば日本全体の経済状況に理由があると思います。

フィッシャーの交換方程式 

「フィッシャーの交換方程式」という、アメリカの経済学者アーヴィング・フィッシャーが提唱した式があります。

  • M × V = P × T

上記が方程式で、各アルファベットの意味は次のようになります。

  • M:貨幣供給量
  • V:貨幣の流通速度
  • P:物価
  • T:取引量

Mは増えたがVは減った

日銀の異次元金融緩和により、貨幣供給量であるM:マネタリーベースは、2013年4月→2017年2月で155兆円から433兆円と3倍近くにまで膨れ上がりました。

これで貨幣の流通速度が不変なら、物価はあがるはずです。

ところが、貨幣が増えても民間銀行等の金融機関は積極的に融資は行わず、むしろ流通速度が落ちたというのです。

上記フィッシャーの交換方程式に当てはめると、Mが増えてもVが減ったためPは上がらず、日銀の金融緩和も空しく空回りし、物価は期待ほど上がらなかったというわけです。

日銀の力だけで物価を上げることは無理

日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という、貨幣供給量を増やしてETFを買って長期&短期金利を操作する、いわば出来ることの限界にまでチャレンジしています。

にもかかわらず、物価は思い通りに上昇をしません。

「フィッシャーの交換方程式」にある通り、貨幣の流通速度が逆に減ってしまうと、どんなにお金を世の中にばら撒いても物価が上がらないのです。

金融機関が融資などでお金を回しておらず、カネ余りの状態です。

デフレマインドの払拭はいつになるか

なぜ金融機関がカネを余らせているのか、それは借り手がいないから、でしょう。

2012年12月より始まったアベノミクスにより、株価は上がり企業の業績は上がり、まちがいなく個人の金融資産と企業の利益は増えたはずです。

それなのに、お金を使わない、回さない。

これも30年近く前に起こったバブル崩壊の傷跡なのでしょうか。

個人も企業も過剰なほど保守的になっているように見受けられます。

日本経済全体に渦巻くデフレマインドの払拭は、あと10年20年、下手したらそれ以上に必要なのかもしれません。

経済を正常化するためには、物価が上がらない責任を日銀にだけ押し付けるのではなく、日本全体の問題として認識しなければならないのではないでしょうか。

 - 時事