三菱UFJのプライマリー・ディーラー返上は国債暴落フラグ?
三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)の資格を国に返上すると、今日報道がありました。
あまり話題になっていない気がするのですが、もしかしたらこの出来事が、今後の国債の値動きを決定づけるトリガーになる・・・かもしれません。
プライマリー・ディーラーとは
プライマリー・ディーラーとは、国債の入札に関して財務省から優遇措置が与えられている機関のことで、証券会社や銀行等20数社がこの資格を有しています。
ただし、優遇措置の対価として、一定の規模の国債を応札しなければならない義務を負います。
元はアメリカ発祥のようで、アメリカの場合、米国債の入札に関して、ニューヨーク連銀と直接取引できる権利を政府から与えられた機関がプライマリー・ディーラーになります。
日本ではアメリカをまねて、2004年から財務省がこの制度を導入しました。
プライマリー・ディーラー20数社のうちの1社が、三菱東京UFJ銀行です。
なぜ三菱東京UFJ銀行はプライマリー・ディーラーを返上するのか
上述のとおり、プライマリー・ディーラーは一定規模の国債の応札が義務付けられています。
現在、今年1月末に導入されたマイナス金利政策の影響で、10年国債の利回りがマイナスとなっています。
もっていると損をする、まるで呪いのアイテムみたいになってしまっています。
じゃあ、なぜそんなものを嬉々として各機関が買っているのか?
それは、日銀が高値で国債を買ってくれているからです。
日銀が異次元緩和政策によって猛烈に国債を買ってくれるから、各機関も安心してマイナス利回りの国債を買えるわけなんですね。
でも・・・。
異次元緩和はいつの日か終わりが来ます。
もし、日銀が国債を買ってくれなくなっちゃった場合、果たして国債はどうなるのか?
買い手のつかない国債は、利回りがどんどん上がってしまうでしょう。
国債の利回りと価格は反比例の関係にあるので、利回りが上がると国債価格はどんどん下がることになるでしょう。
そうなってしまうと、国債購入を義務付けられているプライマリー・ディーラーは大損です。丸損です。
そうなってしまわないうちに、今のうちに、プライマリー・ディーラーやめとこう。
これが、三菱東京UFJ銀行がプライマリー・ディーラーを返上した理由であると見ています。
他の機関も追随したら国債暴落?
問題は、この三菱UFJの動きを他のプライマリー・ディーラー機関がどう見ているか、だと思います。
もしこれに呼応する形で、他の機関も次々とプライマリー・ディーラーを返上してしまったら、国債の買い手が減ってしまいます。
そうなると、異次元緩和終了を待たずして、国債は値下がりしてしまうかもしれません。
三菱UFJのプライマリー・ディーラー返上が国債暴落のきっかけだった
将来国債が暴落してしまったら、このように振り返ることがあるのかもしれません。
とはいえ、将来のことは分からない
あくまでも「かも」であり、可能性の話であって、国債が本当に暴落するとは限りません。
他のプライマリー・ディーラーがさらにたくさん国債を買うとか、あるいは新しくプライマリー・ディーラーに名乗りを上げる機関が出てくるかも分かりません。
もしくは、財務省がこれ以上の返上を許可しないという力技を見せるのかもしれません。
一寸先は闇、未来は誰にも分かりません。
とはいえ、本件は国債のパワーバランスを変えるかもしれない一大事件ではあると思います。
株や為替、原油だけではなく、国債の動きも要チェックです!!