今のうちに1ドル90円時代を想定しておく
2017年、18年とドル円為替が1ドル110円前後と安定しています。
2017年、18年の株式市場はゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれており、割安とは呼べないけれど決して過熱はしていない、居心地の良い適切な株価であるとされています。
おそらく為替のほうも、1ドル110円が日本にとってもアメリカにとっても投資家にとっても居心地の良いレートなのでしょう。
しかし居心地の良い状態が永遠に続かないのが相場というもの、数年後には1ドル90円台と円高が進んでいるかもしれません。
この居心地の良い適温相場のうちに、1ドル90円時代を想定しておこうと思います。
2015年12月以降、利上げしても円安にならなかった
金融危機以降、FRBが利上げを開始したのが2015年12月のことでした。
当時のドル円為替レートは1ドル120円前後でした。
アメリカのFRBは緩和の出口策を始めようとしているのに、日本は相変わらず異次元緩和を継続したまま。
しかも2016年1月には日銀はマイナス金利まで導入をはじめました。
通貨は金利の高い方に流れるのが定石、きっと近々130円、140円と徐々に円安は進んでいき、10年後には200円ぐらいになっているのではなかろうか、と当時は想像していました。
しかし現実は、2016年年明けには原油安によって安全資産と目される円に資本は流れて円高が進み、6月の英国民投票でEU離脱が決定した際には、なんと一時1ドル100円を割り込みました。
想定外も良いところです。
「利上げ=通貨高」が金融の教科書に載っている流れだろうに、現実は「利上げ=通貨安」となったのです。
この2016年~18年の相場を見て、私は以下の様に考えるようになりました。
「日本円は世界最強の通貨で、1ドル120円というのは不当なまでに円が過小評価されているレートで、平時は1ドル110円前後が妥当なレートである」と。
景気後退が起きれば円高になる!
2018年8月時点での1ドル110円が妥当なレートであるならば、もし今後景気後退が起きれば、世界最強通貨・安全資産である円が買われ、円高が進行することは必定です。
FRBは今利上げを進めていますが、景気後退となればまた利下げをするでしょう。
そうなれば、今度こそ「利下げ=通貨安」という教科書通りの流れとなると考えられます。
アメリカは有事に備えて今のうちに金利の誘導目標を引き上げていますが、日本は長期金利上昇は見認めたとはいえ、金利は低いままです。
金利は低いほうからは流出する、ということで、ドルの価値が目減りし、その代りに金利の下げ幅の無い日本円が買われ、円高が進行する。それも100円を割り込むほどに進行することを覚悟しなければならないと考えています。
BREXITの時が99円くらいまで行ったので、景気後退が本格化すればこれ以上の円高が起きても全く不思議ではありません。
円高時代を今の内から覚悟する
景気後退がいつ起きるか分かりません。
2019年なのか、3年後の2021年なのか、或いはまだ先なのか、2018年8月時点では誰にも予測できません。
しかし、いざ景気後退が発生すると、1ドル90円台にまで円高が進むと予測するのは妥当だと考えます。リーマン級の酷いのがくると、80円台もありえるでしょうが、これはあまり想像したくありません・・。
1ドル90円時代をどうやりすごすか?
この適温相場のうちに、今のうちから想像を働かせておこうと思います。