【書籍紹介】『賢者の投資、愚者の投資』投機という行為の道標
2016/10/09
ここ数日は寒の戻りで肌寒い日が続きましたが、今日は穏やかな気候で過ごしやすい一日になりました。
新年度に向けて、徐々に春が近づいている実感があります。
こんな気持ちのいい日は読書にうってつけということで、本日は書籍紹介の日とします。
紹介する本は山崎和邦氏の「賢者の投資、愚者の投資」。
この本は”投機”という行為に関して、作者の思うことろを大いに論じており、私もその考えに共感しました。
この本をきっかけに”投機”することを決意し、そして実行をしました。
東芝株の購入がそれです。
おそらくこの本に出会わなければ、東芝株など購入することは無かったでしょう。
自分の投資スタイルを変えてしまうほど、強く影響を受けたのです。
書籍情報
書名:50年超の投資実践でつかんだ「最後に勝つ」相場の哲学 賢者の投資、愚者の投資
著者:山崎 和邦
出版社:日本実業出版社
発売日:2015/12/3
ページ数:256
どんな内容か?
作者の山崎和邦氏は、若手時代は野村証券で株を売る「セルサイド」、野村証券退社後は個人投資家として金融資産を構築する「バイサイド」、現在は大学教授として市場を研究する「ノーサイドの研究者」という3つの立場を経験しています。
この3つの立場を経験した人物ならではの相場観を存分に堪能できます。
「賢者の投資、愚者の投資」のタイトル通り、賢者と愚者の分岐点を詳細に述べています。
そのうえで、以下の3点を力説しています。
- “投機”についての基本認識
- 可謬論(かびゅうろん、人は市場で誤りを免れ得ないという理論)
- 自己を律する自律の精神
とても簡単に言えば、「高値で株を売って現金をたくさん持っておき、市場の歪みにより不当に安くなった株を買い、あるべき価格になったら売り払おう」ということです。
もっとも上記は簡略化もいいとこで、その考えに至る具体的なプロセスはもっと詳細に記述されています。
また、作者は相当の金融資産を市場で築き上げており、どのような取引をして儲けたか実例を示しています。
儲けた話ばかりでなく、致命的な失敗も包み隠さず語っており、その時に得た教訓も公開しています。
この本のココがよかった
書いてある内容のほぼ全てが大いに参考になりました。
一番大きいのが、”投機”とは何かを学べたことです。
よく「投機は投資と違って良くない」とか「投機はギャンブルだ」といった意見を耳にします。私も本書を読む前はこのような意見に近い考えを持っていました。
“投機”は英語で”Speculation”といい、元々は熟考、探究、思弁、迷い、等の意味があり、これらを伴わなければ真の投機ではない、というのです。
さらに、「どんなに良い投資でも”Speculation”しない投資はよい投資ではない」とまで言っています。
なるほど、確かに投資をするときは、具体的な銘柄は何にするか、時期はいつか、それが本当に賢明なのか、と色々考え、迷い、そして判断をします。
きちんと自分の頭で考え、決断をしてカネを投じたのであれば、その行為は立派な”投機”なのでしょう。
本書により、投機に対する偏見を捨て去ることができたのです。
また、作者は相当の教養があるようで、かなりクセがあり少々難解ではあるものの、それでいて頭に入りやすい絶妙なバランスの文章となっています。
投資の心構えだけでなく、改めて日本語まで学べました。
どんな人におすすめ?
もっと勉強したい、相場について知りたい、さらに儲けたいといった向上心を持った投資家におすすめです。
必ず何か得るものがあるでしょう。
また、”投機”なんてギャンブルじゃないか、と偏見を持っている人にもおすすめします。
共感するかどうかは置いといて、こういった”投機”の見方もあるのだと新たな発見があるかもしれません。
まとめ・感想
本書の冒頭、一文目にこうあります。
金融資産だけで1億円以上持っている人は国内に76万人いるという。
これを遺産相続で得たとか親から贈与されたものではなく、自分で作った者は賢者の末席にいるとしよう。
この一文でグイッと引き込まれました。
私は1億円もの金融資産を作り出すことを目標としている。この本はまさに自分が求める情報を提供してくれるのだ、と。
この「賢者の投資、愚者の投資」から受けた影響は、自分の相場観を変えてしまう程大きなものでした。
いつの日か「賢者の末席」に加わることのできるよう、日々精進しようと改めて思いました。