【書籍紹介】『日本国債暴落』エンタメでもあり国債の教養本でもある
2016/10/09
今日は書籍紹介の日とします。
土日はブログ更新できなかったので、珍しく平日に読書感想文を書きます。
「日本国債暴落」という何だか物騒な題名の本です。
最初から狙って買ったわけではなく、タイトルに惹かれて衝動買いをしてしまいました。
それなりに面白くてタメにもなったので、本ブログで紹介することとします。
書籍情報
書名:日本国債暴落―― 「確実に起きる危機」のストーリー
著者:桐谷 新也
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2015/10/23
ページ数:296
どんな内容か?
外資系投資銀行のエーストレーダーが主人公の経済小説です。
最初は2007年3月から始まり、2008年、2009年と時系列で物語が展開され、本書が出版された2015年に至り、将来となる2019年まで続きます。
2015年までは現実に起きたことをベースに、債券トレーダーである主人公を介して、国債の世界を表現しています。
2015年以降はIFの世界です。
日銀の異次元緩和による物価上昇が順調に進んだ場合、国債が今後どのようになるのかを描いています。
物語中に国債に関する知識が随所に紹介されており、エンターテイメントとしてだけでなく国債の教養本にも成り得るかと思います。
この本のココがよかった
物語を通して日本の国債に関する知識を学べます。
この物語のヒロインに冴子というキャラクターいるのですが、殆どの章で主人公が冴子に国債に関する知識を伝授するシーンがあり、章の最後で「冴子のメモ」という形でその内容を箇条書きでまとめています。
この「冴子のメモ」を読むだけでも、国債に関して相当の理解を得ることができるのではないでしょうか。
作者にとって本書は初めての作品だそうですが、文章は相当洗練されており、債券という取っ付きにくい分野であるにも関わらず、変に難しく感じることなく素直に読むことができました。
もちろん純粋な物語として見ても面白かったです。
どんな人におすすめ?
まず、国債について学びたい方。
前述のとおり「冴子のメモ」だけで国債の基礎は抑えられるかと思います。
次にエンターテイメントを純粋に楽しみたい方。
娯楽として見ても満足する出来でした。
まとめ・感想
副題は “「確実に起きる危機」のストーリー” と御大層なのですが、あくまでも娯楽作品でありフィクションであって、将来は国債暴落間違いなし、と予言するものではありません。
そもそも物語文中の「2017年、株価は順調に上がり日経平均25,000円到達」の時点で外していますしね。
(今は2016年ですが、2017年に25,000円達成はほぼムリでしょう。)
ただ、インフレが悪い方向に進むと国債がやばいことになるよ、と作者なりのメッセージといいますか警告として受け取ることもできます。
未来はどうなるか分かりませんが、一つの可能性として頭の片隅に入れておくことにします。