【米国銘柄&株価分析】ファイザー(PFE)~後発薬の事業強化で更なる成長を期待
2017/04/01
今日は米国株分析第二弾、ファイザー(PFE)の銘柄分析をやってみようと思います。
ファイザーもP&G等と同じく、日本でも優良銘柄として知られています。
アメリカを代表する製薬会社の株としての実力はいかほどでしょうか?
(2017年4月1日 更新)
ファイザー銘柄分析
ファイザーとは
ファイザーとは世界を代表する製薬会社で、循環器系やワクチン、中枢神経系の新薬を開発している会社です。
日本では露出度がいまいち低いかもしれません。
2009年ごろから日本の著名な製薬会社であるアステラス製薬と合同で「カデュエット配合錠」の販促活動、および販売していましたが、2015年3月に契約が切れてファイザー単独に販売移管することとなりました。
近年は買収に積極的で、2014年に米イノファーマを、2015年9月にはホスピーラを買収しました。
また、2015年11月には同じ製薬会社のアラガンとの合併を発表しました。(※下記追記参照)
背景には後発薬(ジェネリック医薬品)に関する事業を強化する狙いがあるようです。
(※)2016年4月6日追記
アラガンとの合併は白紙となりました。
アラガンがあるアイルランドへ本社を移しても、節税にはならないと判断したためとのことです。
この発表により、ファイザーの株価は上昇し、逆にアラガンの株価は下降しています。
ファイザー株基礎情報
ティッカー | PFE |
市場 | NYSE |
採用指数 | DOW30 / S&P500 |
セクター | ヘルスケア |
設立年/上場年 | 1942年 / 1944年 |
決算期 | 12月 |
過去10年EPS成長率(%) | -7.88 |
ファイザーのティッカーシンボルはPFEです。英語では「Pfizer」ですので、何となく連想できるでしょうか。
ダウ30種構成銘柄で、アメリカを代表するヘルスケアセクター銘柄になります。
株価指標
指標 | 2016/8/5 | 2017/3/31 |
---|---|---|
株価 | 35.44 | 34.21 |
PER | 29.0 | 29.2 |
PBR | 3.4 | 3.4 |
ROE(%) | 10.24 | 11.62 |
ROA(%) | 4.15 | 4.26 |
配当利回り(%) | 3.33 | 3.74 |
PER29倍は少々割高ですが、優良銘柄はPER30倍も珍しくないですので、妥当な株価と言えるかもしれません。
配当利回りは3.74%と相当良いですが、増配記録を持っているわけではありませんので、利益が芳しくなければ利回りも低下する恐れがあります。
株価チャート(過去11年)
標準的な米国株チャートです。
つまり、リーマンショックの影響で08、09年に大きく下げて、10年以降ゆっくり上昇して現在に至ります。
16年には高値更新となる36.74ドルを記録しています。
利益・および配当(過去11年)
かなり波があります。
利益のピークは2013年で、ここだけ1株利益が突き抜けています。
それにしては、株価は13年にそれほど上昇していませんね。
14~16年は利益は下がっていますが、株価は横ばいな感じです。
配当に関しては、2010年以降は増配を続けています。
15年、16年は1株利益と1株配当の差が殆どありません。
キャッシュフロー(過去10年)
(※営業CFマージンは、営業キャッシュフローを売上で割った値のこと)
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー共に2010年だけはやや低水準であるものの、それ以外の年は安定しています。
驚くべきは営業CFマージンが毎年30%前後をたたき出していることです。
ファイザーは売上からキャッシュを産む力がずば抜けていることが分かります。
バランスシート(2016年)
(※)単位:百万ドル
流動資産が流動負債を上回り、財務状況は健全といえるでしょう。
経営危機に陥ることはなさそうです。
ただし、2014年から現金がおよそ2/3に減っています。おそらくは買収費用の足しにしたものと思われます。潤沢な資金を使って事業拡大を狙っているのでしょうか。
感想
利益が減少傾向にあるものの、ただ手をこまねいているわけではなく、現状を打破しようと積極的な買収&合併を行っています。
そもそもファイザーは2011年ごろから新薬の特許が切れて売上が減り、その需要を後発薬に奪われた背景を持ちます。
日本では後発薬はあまり浸透しておらず約20~30%とされていますが、欧米では過半数を超えるといわれています。
ファイザーは後発薬事業を強化するために、買収&合併を繰り返しているものと見て良いかと思います。
特にアラガンと合併することにより、ファイザーは世界最大の製薬会社となります。
財務状況は健全であり、潤沢なキャッシュを産む企業体質であることから、今後のさらなる成長を期待して、ファイザー株を買うのも選択肢として当然ありだと思います。