毎月分配型投資信託の分配金は不労所得ではない
不労所得・・・それは、働かなくとも得ることができる収入のこと。
この甘美な言葉に憧れを抱き、それを獲得しようと実際に行動に移された方もいらっしゃるはず。
私もその一人で、2015年8月、投資というものは儲かるものだと認識した後、ではどういったものに資金を投じれば良いのか考え、そして出会ったのが「毎月分配型投資信託」でした。
毎月分配型投資信託を持っているだけで、分配金という形で毎月お金が入る。
これぞまさに不労所得!
・・・とは、問屋がおろしませんでした。
毎月分配型投資信託の分配金は不労所得ではありません。
普通分配金と特別分配金
毎月分配型投資信託の分配金は、実は2種類あります。
- 普通分配金
- 特別分配金
この二つの見分け方は課税されるか否かで、課税されるのが普通分配金、課税されないのが特別分配金です。
課税されない特別分配金の方がお得じゃない、と思ったあなた、待ってください。
どういった時に特別分配金が支払われるかといいますと、分配落ち後の基準価額が平均取得価額である「個別元本」を下回った時なのです。
どういうことなのでしょう?
例えば、
- あなたの個別元本:5,000円
- 分配落ち前の基準価額:5,070円
- 分配落ち後の基準価額:4,970円
- 分配金:100円
とします。
分配金が支払われる前の投信の基準価額は5,070円、あなたの個別元本が5,000円なので、あなたは70円得している状態です。
分配金100円が支払われると、その分だけ投信の基準価額が下がります。(=分配落ち)
分配落ち後の基準価額は4,970円になりました。
あなたは100円ゲットしたけれど、その代償として投信の基準価額は4,970円と個別元本を下回ってしまい、30円損した状態となってしまいました。
得したのは、正味70円であることが分かります。
この得した70円に対してのみ課税され、これが普通分配金となるわけです。
逆に、残りの30円は元本を取り崩したにすぎず、課税するのはフェアじゃないということで非課税となり、これが特別分配金に該当するわけです。
つまりは、特別分配金とは元本を切り崩して獲得したまやかしの金に過ぎないということです。
特別分配金は、不労所得でもなんでもありません。
一度も普通分配金を貰えなかった
普通分配金なら、確かに不労所得といえるでしょう。
しかし、実際投資してみたらわかりますが、毎月分配型投信は普通分配金よりも特別分配金の割合の方が圧倒的に大きいのです。
私は2015年8月から2016年12月まで毎月分配型投信に投資していましたが、時期が悪いこともあり一度も普通分配金がもらえませんでした。
毎月分配型投信は基準価額の上がり具合よりも、分配落ちの方が大きいため、地合が良くても特別分配金の方が大きくなる仕組みです。
毎月100円貰えたとしても、特別分配金も100円ならそれは不労所得でもなんでもないということです。
例えある月の普通分配金が100円だったとしても、その次の月の分配金も普通分配金100円ということはまず無いといって良いでしょう。
毎月分配型投信への投資=不労所得、と考えるのはやめよう
まとめます。
- 毎月分配型投資信託の分配金には普通分配金と特別分配金がある
- 特別分配金は元本切り崩しのお金であるため、純粋な利益ではない
- 毎月分配型投信の分配金は特別分配金の割合の方が大きくなりやすい
- よって、毎月分配型投信の分配金は不労所得には当たらない
分配金をもらうと、それが実利益であるかのように見えますが、実際はそうではないということです。
実利益はわずかで、ほとんどが元本取り崩しのタコ足配当であることが殆どです。
「毎月分配型投資信託に投資すれば、簡単に不労所得が得られる」と考えるのはやめましょう。
私が一度通り、過ちだと気が付いた道です。
毎月分配型投資信託に投資するなら、上記の現実とこの金融商品の性質を認識したうえで行うことを推奨します。