日本人の逆張り好きは本当?過去1年の投資信託流入金額から検証してみた
2016/02/18
正式な統計データはありませんが、日本人トレーダーは逆張りが好きと言われています。
日経平均株価に2倍のレバレッジがかかるETF「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(1570)は信用取引において絶大な人気を誇り、信用買い残高はトヨタ、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、ソフトバンクの5社を合計したものよりも多いようです。
今回の株価下落で、逆張りで1570を買い建てた投資家が損を出しているケースが目立っているそうです。
とはいえ、日本人の堅実な国民性から、逆張り好きであることを鵜呑みにするには抵抗があります。
そこで、今日は本当に日本人が逆張り好きなのか、独自の視点で検証したいと思います。
検証方法
「投資信託協会」という投資信託情報を提供しているグループがありまして、月に一度「投資信託概況」を発表しており、投資信託の資産増減や、投資信託への流出入金額、収益分配額を公表しています。
株式投資信託における月単位の流出入金も公表データの一つで、この資料からどのタイミングでお金が投資に向かっているのか考察をしてみます。
2015年1月~2016年1月までの株式投信流入金額
年月 | 流入金額(億円) | 純資産総額(億円) |
---|---|---|
2015年1月 | 14,552 | 776,727 |
2015年2月 | 7,273 | 792,537 |
2015年3月 | 15,890 | 802,795 |
2015年4月 | 7,672 | 818,436 |
2015年5月 | 11,834 | 844,784 |
2015年6月 | 14,362 | 831,244 |
2015年7月 | 14,889 | 842,915 |
2015年8月 | 14,778 | 800,975 |
2015年9月 | 15,403 | 770,807 |
2015年10月 | 1,103 | 819,881 |
2015年11月 | -832 | 825,711 |
2015年12月 | 13,272 | 817,382 |
2016年1月 | 13,879 | 783,130 |
検証開始
2015年1月~5月
日経平均株価が右肩上がりで順風満帆な時期です。月足チャートを見ても、力強い陽線が並んでいます。
17,000円→20,500円まで上昇しています。
まさに我が世の春。日本株黄金時代といってもいいのではないでしょうか。
株式投信への流入金は奇数月は1兆円を超えています。偶数月は1兆円を割り込んでいますが、想像ですが利益確定をした投資家によって流入金が抑えられたのではないでしょうか。
とはいえ、上昇トレンドであるこの時期に五か月連続で流入金がプラスとなっているのだから、順張りの傾向が強いといっていいでしょう。
2015年6月~7月
停滞期です。
日経平均が大天井となる21,000円弱をつけた時期で、特に目立った動きが無かった月になります。
株式投信への流入金は二月とも1.4兆円強となっています。
まだまだ強気!これから25,000円、30,000円と行くんじゃないかと、夢を見ていた投資家もいたのではないでしょうか。
これも順張りといって良いと思います。
2015年8月~9月
チャイナショック勃発!
日経平均株価の黄金時代終焉です。
にもかかわらず、6,7月と同規模の資金が株式投信へ流入しています!
特に9月の混乱期に、1.5兆円の流入となっています。この月は、はっきりと逆張りの傾向が見られました!
2015年10月~11月
チャイナショック回復期。
13か月分のデータをまとめたのですが、10,11月だけ流入額が大幅減少です。
11月に至っては、流出しています。
9月の逆張りで利益がでた投資家が、ここが頃合いと資金を引き揚げたものと考えられます。
2015年12月~2016年1月
逆オイルショック勃発による株価低迷時期。
12月から原油の下落が目立ち、年明け1月から本格的に株価に影響が出始めました。
しかしながら、12,1月共に再び1兆円超えの資金流入となりました。
これはまさに逆張り。株価下落に乗じて、資金を積極的にリスク資産に移そうとする投資家が多いことがうかがえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
あくまでも国内の株式投資信託の流入金からの考察となりますが、日本人は、
- 順張りも逆張りも状況に応じて臨機応変に行う
と言えるのではないでしょうか?
逆張りだけじゃなく、順張りも普通にやっていることが分かります。
そして、したたかに利益回収を逐一実施していることもうかがえます。
今日の検証で、日本人投資家は総じて賢明な資産運用をしていると認識できました。