確定申告書作成コーナーで外国税額控除やってみました
2019/02/11
私は2016年に米国株デビューをしました。
米国株の配当金は、日本国内で課税される前に現地でも10%課税されてしまいます。
確定申告には、この現地で支払った税金(外国所得税)がある程度戻ってくる制度があり、これを外国税額控除といいます。
そこで確定申告シーズン真っ只中の今日、国税庁の確定申告書作成コーナーにて、外国税額控除の入力に初チャレンジをしてみました。
せっかくですので、今回どのように外国税額控除の入力を行ったか、その方法をまとめました。
(2019年2月11日 更新)
前準備
外国税額控除を行うにあたり、まず前準備が必要です。
具体的には、
- 配当をいくらもらったか
- その中からいくら外国所得税として取られたか
を整理します。
これらの情報は、証券会社から配布される「支払通知書」から得ることができます。
また、支払通知書は外国所得税を支払ったことを証明する書類でもありますので、確定申告の際はこの支払通知書を提出する必要があります。
証券会社から支払通知書を取得する
証券会社から支払通知書を取得します。
マネックス証券では、[保有残高・口座管理]ー[電子交付書面]を選択し、「上場株式配当等の支払通知書」を選択し、ダウンロードします。
上述の通り、支払通知書も税務署に提出する資料ですので、ダウンロードするだけでなく、プリントアウトもしました。
支払通知書から外国株配当情報を取得する
支払通知書の中に「国外上場株式の配当等」の項目があります。
これが、前年受け取った米国株配当金情報になります。
配当金単位で記述されていますので、年4回配当を出す銘柄で4度とも受け取った場合、4行分の記述があります。
↑のような感じです。私の場合、2016年はアップルから3回しか配当がもらえなかったので、アップルに関しては3行分しか表示されていません。
そして残念なことに、支払通知書の中に配当金額や外国所得税の合計は記述されていません。
よって、支払通知書から一つ一つ情報を抜き取り、自力で計算します。
※2019年2月11日追記
うれしいことに2019年から国外上場株式の配当の合計がマネックスの支払通知書に掲載されています。
- ①:配当等の金額の合計
- ②:外国所得税の額の合計
- ③:源泉徴収税額(所得税)の合計
- ④:源泉徴収税額(地方税)の合計
確定申告には、①の配当金合計と②の支払った外国税合計が必要になります。
※追記ここまで
私の場合は、支払通知書から以下の情報を取得しました。
銘柄(ティッカー)配当等の金額外国所得税の額支払年月日
これらを全て抜き取り、Excelでまとめました。この自作資料も印刷して、支払通知書と一緒に税務署に提出をします。
2016年は26回も配当金を受け取ったのですね。
配当金総額が58,985円、外国所得税が5,891円でした。やはり配当金の10%が外国税として課税されています。
これらの情報が、外国税額控除に必要となります。
なお、この中にNISA口座の銘柄は含まれていません。NISA口座でも外国所得税は課税されるのですが、残念ながら控除対象外です。
確定申告書作成コーナーへ
これで準備が整いましたので、国税庁HPの確定申告書作成コーナーにて資料作成を行います。
本記事は外国税額控除に的を絞っていますので、いろいろ端折ります。
外国税額控除の前段階
外国税額控除を行う前に、まずは以下を入力します。
- 収入金額・所得金額入力
- 所得控除入力
源泉徴収票が手元にあれば、画面に従って入力していくだけなのでかなり簡単です。
私の場合は一般口座のやり取りも入力しなければならなかったので、ちょっと苦労しました。
一般口座の申告のため、昨年発生した売買記録を予めまとめ、総額を転記しました。
外国税額控除
さて、いよいよメインディッシュ・外国税額控除です。
所得控除入力が終わったら、次は「税額控除・その他の項目の入力」になります。ここで外国税額控除を入力することになります。
税額控除欄の一番下に、「外国税額控除」があります。入力するを押します。
1.本年中に納付する外国所得税額を入力します。
本来なら配当金毎で入力するべきかもしれませんが、そうなると枠が足りないので、前年に受け取った配当金全体の情報を入力することにします。
入力内容は以下の通りです。
- 国名 :米国
- 所得の種類:配当
- 税種目 :源泉所得税
- 納付確定日:平成28・12・31
- 納付日 :平成28・12・31
- 源泉・申告(賦課)の区分:源泉
- 所得の計算期間 :平成28・1・1~平成28・12・31
- 相手国での課税標準 :58,985円
- 左に係る外国所得税額 :5,891円
納付確定日と納付日は前年の最後の日である大晦日を、所得の計算期間は前年の全日に該当する元旦から大晦日を入力しました。
相手国での課税標準と左に係る外国所得税額は支払通知書から計算した額を入力しました。
相手国での課税標準が外国所得税課税前に受け取った配当金です。
左に係る外国所得税額が外国で課税されてしまった金額です。
外貨と通貨は空白としました。
2.国外所得の計算を入力します。
相手国での課税標準と同じ58,985円を入力します。
※2019年2月11日追記
「調整国外所得の計算」と”調整”という文字がついていますが、従来通り国外所得を入力すればOKです。
国外源泉所得>所得総額 の時は所得総額に相当しますが、大半の人は純粋に国外所得を入力すれば足りるはずです。
調整国外所得金額とは、その年分の国外所得金額(非永住者については、当該国外源泉所得のうち、国内において支払われ、又は国外から送金されたものに限る。)をいいます。
ただし、その年分の国外源泉所得が、その年分の所得総額に相当する金額を超える場合には、その年分の所得総額に相当する金額に達するまでの金額とします。確定申告書等作成コーナーよくある質問 調整国外所得金額とは より
※追記ここまで
3.外国所得税額の繰越控除余裕額又は繰越控除限度額の計算以下は全て空白です。
今年が初めての外国税額控除なら、3.を入力する必要はありません。
※2019年2月11日追記
前年も外国税額控除をやっているのなら、前年の「外国税額控除に関する明細書」を見て「(レ)翌年繰越額」と「(ネ)翌年繰越額」の内容を入力します。
空白なら未入力でOKです。
もし今年が初めての外国税額控除で来年も実施する見込みなら、繰越に使うので確定申告書類の控えは取っておきましょう。
※追記ここまで
以上で入力完了です。入力終了ボタンを押します。
すると、外国税額控除の控除額が出現します。
外国税額控除額は2,909円という結果になりました。
むむ、外国所得税の合計額は5,891円なのに、その半分しか控除されないのか・・・。
全額控除してくれよ!
とぼやいても仕方がありません。
外国所得税全額が控除されるわけではなく、所得総額や外国所得等をガチャガチャして計算した額が、2,909円という外国税額控除額になるわけです。
こういった計算は面倒くさく理解するのに骨ですが、確定申告書作成コーナーで基礎情報を入力すると自動で計算してくれるので、大分楽ですね。
以上で外国税額控除の入力完了となります。
外国税額控除してみた感想
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
素直な感想として、外国税額控除は面倒くさく、そのくせ控除額も控え目な印象を持ちました。
もっと配当金をもらえば、控除額も大きくなるでしょうが、私のレベルでは2,909円という微妙な額の控除となりました。
確定申告書作成コーナーでの入力は情報がそろえば苦労は殆どないのですが、むしろ配当金総額や外国所得税合計額といった、入力するための情報を得る方が大変だと思いました。
外国所得税そのものがなくなるのがベストですが、そのようなことは無いのでしょうね。