【書評】99%の日本人がわかっていない 国債の真実
2017/09/15
今日は書評の日とします。
紹介するのは「99%の日本人がわかっていない 国債の真実」という本です。
私はどうも債券というものにうとく、ちょっと勉強してみようと思い、丁度本屋でこのタイトルを見かけたので購入してみたのでした。
モヤモヤする箇所もありましたが、国債について少しだけ分かったような気がします。
書籍情報
書名:99%の日本人がわかっていない 国債の真実
著者:高橋 洋一 (著)
出版社:あさ出版
発売日:2017/7/14
ページ数:223
日銀の国債利益は政府に上納!
著者の高橋洋一さんは財務省出身で、小泉政権や阿部政権下ではブレーンとして手腕を発揮し、「ふるさと納税」「ねんきん定期便」等の政策を提案・実現してきたそうです。
財務省経験者の高橋氏から見た国債について、つまびらかにその見解が述べられています。
中でも勉強になったのが、日銀が保有している国債の利子は、国庫納付金として政府に収められるということです。これは初めて知りました。
アベノミクスの金融緩和政策により、日銀が大量に国債を保有するようになって久しいので、政府は日銀に多額の利子を支払い続けなければならないと思っていました。
確かに政府は日銀に利子を支払うけど、その利子は国庫納付金として再び政府に戻ってくるというのです。
これは常識なのでしょうか?
少なくとも私は本書で初めて認知したということで、大変勉強になりました。
日銀が国債を買わなくなったときは??
さて、本書では国家破綻論・国債暴落論について真っ向から反対しています。
国家が破綻するなら、国債が暴落するなら、国債の金利はもっと高くなるはず。
世界的に見ても日本国債の金利は非常に小さく、これは市場が日本国債は安全であると考えている証拠だ、とのことですね。
ううむ、それはそうなのですが、ここでもっと踏み込んで、なぜ国債の金利が小さいのかを考えてみます。
それは、日銀が国債を金融機関から定期的に買っているからではないでしょうか。
日銀が国債を買ってくれるからこそ、金融機関も安心して国債を応札できるというものです。
今は金融緩和政策だからこそ日銀が国債を買っているわけで、もし物価が首尾よく上がり日銀が緩和を続ける必要が無くなると、はたして国債の需要はどうなるでしょう?
ハイパーインフレを予言する人たちは、国債の需要が急減することから金利も急上昇し、財政危機となり国債が暴落して円の価値も暴落するというロジックを説いています。
極論のようですが、一理あるかと思います。
ハイパーインフレの危機感を強く抱いている藤巻健史氏と高橋洋一氏の対談があったら、ぜひ見てみたいです。
意見が180度違う人同士の対談ということで、興味深いものになるでしょう。
投資のアドバイスについては・・
最終章は、投資のアドバイスについて言及されています。
個人向け国債は安全だ、外国債や株・投資信託は手を出すべきではない、ということです。
私とはちょっと違う考えなのですが、そういう意見もありでしょう。
中には完全に賛同できる箇所もありましたので、その引用をもって本記事を終わりにしたいと思います。
消費は、後に何も残さない。
「おいしい」「楽しい」「うれしい」という気持ちが残るだけで、お金は消えてしまう。
(中略)
一方、投資をすると、「資産」を得ることになる。投資したお金は、「お金を生むお金」になるということだ。