【書評】国家は破綻する「日本は例外」にはならない!
今日は書籍紹介の日とします。
紹介するのは現役の国会議員である藤巻健史氏の著書「国家は破綻する「日本は例外」にはならない!」です。
国家破綻なんて、なにやらとても物騒なタイトルですね・・・。
書籍情報
書名:国家は破綻する 「日本は例外」にはならない!
著者:藤巻 健史
出版社:幻冬舎
発売日:2016/11/10
ページ数:303
国家が破たんする?
タイトルに「国家は破たんする」なんて、センセーショナルな言葉を使っています。
この本のいわんとすることは、非常に簡単に言うと、以下になるかと思います。
- 異次元の質的量的緩和により、日銀は国債を大量に購入している
- 景気が上向いて日銀が国債購入を停止したら、買い手不在のため国債が暴落する
- 国債が暴落=>金利の上昇=>円の価値が低下=>ハイパーインフレ=>国家破綻
本書でいう国家破綻とは、日銀が保証する円という通貨の信頼が各国から失われて円の価値が下がり、ものすごいインフレ(=ハイパーインフレ)が勃発し、日本経済が大混乱に陥ることを指します。
決して国が消えてなくなるというわけではありません。
政府の財政状況が著しく悪く、日銀も異次元緩和でマネタリーベースを積み上げているのに、なぜインフレにならないのか?それは、円高で景気が悪いから、としています。
円安に傾き景気が良くなった時こそ、本当の危機が訪れると本書で力説しています。
理屈は分からないでもありません。可能性はゼロではないと思います。
しかしながら、世界各国と連携してあの手この手で過剰なインフレを回避しそうな気もします。
そもそも、デフレが20年以上続いた日本においてインフレが発生するなんて全く想像できません。
理に適っていることを書いているとは思いますので、頭の片隅に1%くらいの確率でそういうこともありうるかも、ぐらいにとどめておくと良いのかもしれません。
日銀の米国債購入はなるほどと思う
本書で一番納得がいったのが、量的緩和するなら日銀は米国債を購入すべし、というものです。
日本国債はほぼ日銀しか買っていないから売却時の買い手も見つかりにくいが、米国債ならば世界中に買い手がいるから、緩和終了の出口戦略が作れると説いているのです。
米国債を購入することで円安になるから、アメリカが文句をいうのではとの意見にも、欧米諸国・中国の中央銀行の外債の購入額に比べても日銀の外債購入額は少ないから、外債購入を制限される理由は無いと反論すれば良いとしています。
なるほど、と思いました。これは非常に良いことを言っています。
米国債購入で、円安が進み景気もよくなり、出口戦略も立てやすくなるというわけですね。
今後、日銀の米国債購入はあり得ることだと思います。
タイトルは大げさだが、日本の現状を知るには良い
日本政府の懐事情や、日銀の異次元緩和の危険性を本書は思う存分述べています。
国家は本当に破綻するのかはさておき、日本が置かれている現状を認識するには良い本だと思います。
やはり円だけじゃなく、ドル建て資産を持った方がリスクヘッジにはなりそうかなと、改めて思いました。